医薬品業界で成長を加速!12億円を獲得した「大規模成長投資補助金」活用事例

医薬品、医薬部外品や健康補助食品の製造を手がける「寧薬化学工業株式会社」では、医薬品業界における事業成長を加速させるべく、新工場の増設および設備投資を含む事業戦略の強化が進められています。しかし、限られた資金や経営資源の中でこれを実現するには、数多くの課題が存在していました。
そのような中、同社は補助金クラウドの支援を活用することで、大規模成長投資補助金を獲得。着実に事業計画を前進させる大きな一歩となりました。
本インタビューでは、補助金申請に至った経緯や、補助金クラウドの支援内容、さらに支援を受けた際の感想について、寧薬化学工業株式会社の徳井社長と経営企画部の吉田部長に詳しくお話を伺いました。
工場拡張の必要性と新規事業の展開 補助金申請を決断した背景
補助金クラウド編集部:
補助金を申請した理由と、その背景を教えてください。
徳井社長:
当社ではかねてより工場の拡張を検討していましたが、新規事業の受注に対応するには、既存工場と比較して動線の良い生産性の高い新たな工場の建設が不可欠でした。また、地方に位置する工場では迅速な人材確保が難しく、事業拡大と人材不足の双方を実現・解決するためにも、生産性の高い効率的な新工場の整備が急務でした。
そうした折、大規模成長投資補助金の公募を知りました。人件費をはじめあらゆるコストの高騰が続く中、この補助金を活用することで工場の新設に加え設備投資の拡充も可能になると判断し、確実に補助金を獲得するには専門的な支援が必要と考え、補助金クラウドに支援を依頼する運びとなりました。
審査を知り尽くしたプロのサポート 補助金クラウドに支援を依頼した理由とは
補助金クラウド編集部:
補助金申請支援を外部に依頼した理由と、その支援に補助金クラウドを選んだ理由を教えてください。
徳井社長:
周囲に補助金獲得のプロセスについて相談したところ、自社内のみで対応するのは難しいと判断しました。そこで地域の銀行に相談し、補助金クラウドをご紹介いただいたのが始まりです。
補助金クラウド編集部:
自社内のみで対応するのは難しいと判断されたのは、具体的にどのような点からでしょうか。
吉田部長:
当社では過去に国の助成金を自社で申請し、採択された経験がありました。しかし、大規模成長投資補助金は事業計画の策定においてより高い精度と厳密さが求められます。審査通過には論理的かつ説得力のあるプレゼンテーションが必要で、特に事業の成長性や市場への影響を的確に伝える力が重要です。これらを踏まえ、補助金申請の専門的ノウハウを持つ外部コンサルタントとの連携が採択の可能性を高めると考えました。
補助金クラウド編集部:
地域の銀行から補助金クラウドをご紹介いただいたとのことですが、支援を依頼する決め手となったポイントを教えてください。
徳井社長:
決め手となったのは補助金クラウドとの初回面談です。担当者の方が過去の多数の申請支援実績から、補助金の審査基準や採択に至るための重要ポイントを的確に把握されていると感じました。そのため、事業計画の説得力、市場の成長性、資金計画の明確性など、審査上重視される要素に関する具体的かつ実践的なアドバイスをいただける信頼感がありました。また、チームの皆様が若くて優秀であり、活気あふれる姿勢にも強い安心感を覚え、それも支援をお願いする決め手になりました。
吉田部長:
実は、地域の銀行からは補助金クラウドの他にもう1社紹介いただいていました。両社の説明会に参加した際、もう1社は補助金の公募要領に沿った説明をされており、制度の理解を深める上で有益でした。一方、補助金クラウドはさらに踏み込み、補助金活用の重要ポイントや審査で求められる具体的要件について専門的視点から論理的かつ説得力ある説明をされていました。例えば「この条件を満たしていないと採択が難しくなる」「この部分を強調することで審査上有利になる」など、具体的かつ実践的なアドバイスをいただき、その専門性の高さと分析力に強い信頼を感じました。
精度の高い申請に向けたチーム編成と見積もり取得の苦労
補助金クラウド編集部:
補助金申請には、どのような体制やチームを組んで臨まれましたか?
吉田部長:
まず事業計画の策定については、徳井社長が大きなビジョンを描き、資金計画の詳細部分は補助金クラウドの支援を受けながら進めました。地域経済への貢献や工場のあり方、生産性向上の方針については、私が研究開発部・製造部・品質管理部から適任者を選出してプロジェクトチームを編成しました。事業計画のベース作成及び具体化、プレゼンテーションの準備は補助金クラウドが中心となって進めたことで、申請資料作成に係る時間を大きく削減し、プロジェクトチームメンバーは事業計画、設備投資計画、スケジュールの具体化に多くの時間を割くことができました。
補助金クラウド編集部:
しっかりとした体制を整え、事業計画の策定を進められたのですね。その中で、補助金申請を進める上で特に苦労された点はありましたか?
吉田部長:
事業計画を精緻化するにあたり、確実に投資回収が見込める計画を立てる必要がありました。また、賃上げ目標をどの水準に設定するか、さらには当該事業が社会に与える貢献度をどのように整理し示すかといった点についても、限られた期間の中でまとめ上げる必要があり、非常に苦労しました。
徳井社長:
現在、医薬品の供給不足が深刻な社会問題となっています。弊社では今回の取り組みを通じて新たにジェネリック医薬品の受託製造分野へ参入し、工場を増設することでこの供給不足の解消に貢献したいと考えています。
もともと当社では新工場の建設を予定しており、2024年3月中旬に新工場建設の最終見積もりが出る予定だったところ、3月上旬に大規模成長投資補助金の公募情報が公開され、当社の計画とタイミングが偶然にも一致しました。他社の中には公募情報を受けて急遽計画を立案した例もあると聞いていますが、当社では既に導入予定の設備やその見積もりが明確になっていたため、非常にスムーズに申請を進めることができました。
とはいえ、実行に移すには困難もありました。特に申請には詳細な見積もりの提出が求められ、その作成には苦労しました。工場全体の設計にかかる大枠の費用見積もりは比較的スムーズに準備できましたが、もし事前準備が整っていなければ他の業務に手が回らなかっただろうと感じています。本件を通じて、タイミングの重要性を身をもって実感しました。
吉田部長:
本当に、見積もりの取得は苦労しましたね。補助金申請では3社以上の相見積もりが必要とされており、同じ製品を購入する場合でも異なる3社を通じて取得しなければなりません。しかし一部の企業からは「形式的な見積もり依頼ではないか」との懸念から見積もり提出を辞退されるケースもあり、3社分の見積もりを揃えるのに苦労しました。
突然の公募発表にも即対応 昼夜を問わない手厚いサポートが成功の決め手に
補助金クラウド編集部:
申請においてさまざまな苦労があったかと思いますが、その中で補助金クラウドのサポートについて、特に良かったと感じられる点はありますか?
徳井社長:
特に印象に残っているのは対応スピードの速さです。非常にタイトなスケジュールでの申請となりましたが、迅速かつ柔軟な対応をいただき、大変助かりました。
今回は経済産業省からの突然の公募発表により一次公募までの期間が極めて限られており、昼夜問わず対応いただく場面が多くありました。申請締切は4月末で契約締結が4月上旬だったため、わずか1ヶ月で全てを完了しなければならない状況でした。
さらに1次公募後もタイトなスケジュールが続きました。ゴールデンウィーク明けには1次審査結果が発表され、その直後から2次審査に向けたプレゼンテーション準備に取り掛からなければならず、時間的余裕はほとんどありませんでした。
そうした中でも、支援を担当していただいた補助金クラウドの皆さんとは非常に円滑なコミュニケーションが取れました。質問内容が的確かつ具体的だったため、我々としても迅速に回答でき、作業がスムーズに進行しました。担当の皆さんには遅い時間まで対応していただき、本当に感謝しています。
補助金採択による業務変化と費用対効果に対する満足感
社員のモチベーション向上と事業活動の加速
補助金クラウド編集部:
補助金が採択されたことで、業務にどのような変化がありましたか?
徳井社長:
補助金採択の影響は非常に大きなものでした。まず企業として補助金相当額の利益を得るには何年もかかるところを、この短期間で資金的支援を受けられたことで様々な事業活動を加速できました。
また、補助金の採択は社員にも正式に報告し、大変喜んでもらえました。この成功体験が社員一人ひとりの自信となり、新たな挑戦に積極的に取り組む姿勢が育まれていると感じています。
特に大きな変化としては、これまでコストパフォーマンスを重視し中古や海外製の機械を導入していたところ、今回の補助金採択により最新の日本製の生産設備及び試験研究設備を購入できました。これにより社員たちのモチベーションが大きく向上しています。さらに、今回策定した事業計画は経営陣のみならず社員にも共有しました。組織全体で目標を共有することでチーム全体の士気向上につながり、より一体感を持って業務に取り組む風土が醸成されつつあります。
成功報酬型の支援で納得のサポート
補助金クラウド編集部:
補助金の採択が業務に大きな影響を与えたとのことですが、補助金クラウドにお支払いいただいた費用については、どのように感じていますか?費用対効果の観点からご意見を伺えますでしょうか。
徳井社長:
費用対効果についても満足しています。補助金クラウドの支援は成功報酬型であり、仮に採択に至らなかった場合でも着手金のみの負担で済みます。その点が依頼先選定の決め手の1つにもなりました。
実は以前の勤務先の先輩が大手コンサルティングファームに在籍しており、そちらにも一度相談しました。しかしその企業では確定報酬型を採用しており、費用も高額だったため、当社の状況では依頼が難しいと判断しました。その点、補助金クラウドの報酬体系は、得られる成果やメリットと比較して納得感のある水準であり、コストパフォーマンスの面でも優れていると感じています。
吉田部長:
補助金の採択後には交付申請をはじめとした各種申請手続きに伴う資料作成が必要となりますが、その点も継続的に支援いただけるため大変心強く感じています。特に資料作成における具体的な内容や形式についても丁寧に指導いただける点は非常にありがたく、安心して手続きを進めることができています。
補助金採択後の社内外の反応と期待 社内の前向きな変化と地域経済への波及効果
補助金12億円の支給決定!喜びとともに生まれる現場の課題とは?
補助金クラウド編集部:
補助金が採択された後、業務面でさまざまな変化があったかと思いますが、それに対する社内の反応はいかがでしたか?
吉田部長:
今後は、既存工場・既存設備と比較して、生産性の高い大量生産体制への移行を進めることになります。また、全部門で省人化を目的とした自動制御プログラムを使用した生産体制の導入を進めることになり、会社全体としての期待は非常に高まっています。
一方で現場には不安の声も少なからずあると思います。生産性向上は単にボタン一つで実現できるものではなく、新たな生産ラインの運用方法や機械操作の習得、さらには品質管理プロセスの見直しといった多くの課題への対応が必要です。こうした現場の不安に対して経営層も十分理解を示しており、様々なアドバイザーを招くなど、円滑な導入と成功に向けた体制構築に努めています。
また、補助金採択については社内全体で非常に大きな反響がありました。「補助金12億円が支給される」という情報が社内で広く共有され、従業員の間で期待が高まっています。その成果を最大限に活用したいという意欲が高まり、本来予定していた投資内容に加え、現場からは追加の要望も挙がってきました。これについては優先順位をしっかり整理し、必要な投資に絞って進めていく方針です。
地域経済に良い循環を生む補助金の広がり 補助金採択されたことによる社外への影響
補助金クラウド編集部:
大規模成長投資補助金に採択されたことについて、社外からの反応はいかがでしたか?
徳井社長:
社外の反応として、近隣の同業他社が同様のチャレンジを始めたという話を耳にしています。また経営者が集まる会合でも「どのようにして大規模成長投資補助金を取得したのか」について関心を示す声がありました。補助金活用に対しては大企業を含む多くの会社が興味を持っています。
弊社が採択されたという情報が広まることで、他社にとっても補助金への挑戦のきっかけになれば良いと考えています。こうした流れが地域全体の企業活動を活性化し、ひいては地域経済に好循環をもたらすことを期待しています。
補助金採択後の現在地 事業計画の着実な推進と組織強化の取り組み
補助金クラウド編集部:
補助金が採択され、事業が本格的に始動されたと思いますが、現在の取り組みと今後の展望について教えてください。
吉田部長:
現在は提出した事業計画に沿って着実に進められるよう、適切な監督・コントロールを行っています。補助金を活用した今後の計画についても、設定した売上目標の達成に向けて着実に取り組んでいます。高い目標ではありますが、公に掲げた以上、緊張感を持って進めていく考えです。
補助金クラウド編集部:
その目標に向け、具体的にどのような取り組みをされていますか?
吉田部長:
目標達成に向け、経営会議では短期・長期の計画を立案し着実に進めています。また徳井社長や私をはじめとする経営陣に加え、今後の10〜15年を担う若手、特に40代以下の人材にも経営に関わる経験を積んでもらうことで、次世代経営層の育成にも力を入れています。常に現場の肌感覚を大切にしながら、実践的に成長してもらいたいと考えています。
一方で利益計画の策定や人員計画、人材採用にも課題があります。特にどの部署にどの程度の人材が必要かを的確に見極める必要があると感じており、その一環として外国人労働者の雇用にも取り組んでいます。現在は十数名のベトナム人従業員が在籍しており、日本人社員と良好な関係を築きながら当社の成長に大きく貢献してくれています。
成長のチャンスを掴む! 補助金申請に挑戦する企業へのメッセージ
補助金クラウド編集部:
最後に、補助金申請を検討している企業の皆さまへ、今回のご経験を踏まえたアドバイスやメッセージをお願いします。
徳井社長:
今回の大規模成長投資補助金については、奈良県内で採択された4社のうち3社が医療関連企業であり、いずれも代表者同士が面識のある関係でした。しかし我々は補助金の公募を待っていたわけではなく、もともとしっかりとした事業計画を持っていたからこそ、そのタイミングに合った形で補助金を活用できたのだと思います。
補助金はあくまで事業を加速させる手段の1つですが、事業計画が明確であれば大きな成長のチャンスになります。もちろん大規模な設備投資には相応の資金調達が必要となり、多くの場合は金融機関からの借入が伴います。しかし、金融機関も企業の信用力を前提に融資判断を行うため、資金繰りに不安があるような状況では補助金の申請以前に審査が通らない可能性もあります。そのため適切な投資規模を見極めるとともに、仮に補助金が不採択となった場合の対応策も事前に想定しておくことが重要です。
特に製造業のようなビジネスモデルでは一定の自己資金確保が不可欠であり、資金が枯渇するといざという時に柔軟な判断ができなくなります。そういった意味でも、今回の補助金のタイミングは当社にとって非常に好機だったと感じています。
吉田部長:
大型の補助金を活用するには、経営者や従業員が一丸となって目標に向かって取り組むことが重要です。補助金の採択は事業を大きく前進させる契機となります。ぜひ前向きに検討されることをお勧めします。