事業転換に伴う資金調達に事業再構築補助金を活用 テック系スタートアップの補助金活用戦略とは
株式会社munica(ムニカ、以下「munica」)は、EC事業者を対象にアプリ開発環境と拡張型のCRMツールを搭載した「munica」のサービスを提供するスタートアップ企業です。EC事業者の顧客管理の効率化とUX改善を実現するLINE拡張ツールを開発・提供し、EC事業者の発展をサポートしています。
municaは、従来rite株式会社として、ブランドと生活者のリレーション構築を支援するサービスや、ブランディング・マーケティング・新規事業開発のコンサルティングサービスを提供しておりました。その後、事業ピボットに伴い、資金繰りの課題が発生したため、事業再構築補助金の申請に挑戦しました。
しかし、補助金申請には相当なリソースとノウハウが求められるため、municaは、経営革新等支援機関である株式会社Stayway(代表:公認会計士 佐藤淳)が提供するサービス「補助金クラウド」の申請サポートを活用しました。
そこで、municaの代表取締役を務める櫻井恵輔さんに、具体的な資金繰りの課題や補助金クラウドの魅力、補助金活用を通じた今後の展望などをお伺いしました。
資金の安定性を担保したい 補助金を申請しようと思ったきっかけ
補助金クラウド編集部:
補助金を申請しようと思ったきっかけを教えてください。
櫻井さん:
弊社は当時、シードスタートアップとして事業転換を行うために、融資や外部のエクイティによる資金調達を検討していました。そのためには、事業実績の蓄積や手元の資金の安定性を確保することが重要でした。
また、補助金に採択されていれば、資金の安定性が担保されていることの証明となるため、融資を受けやすく、資金繰りのベースを作るための有効的な手段だと感じました。
事業計画書の内容や見せ方がブラックボックス 補助金申請で感じた課題とは
補助金クラウド編集部:
補助金申請のどのような点にハードルを感じ、申請サポートを受けようと思ったのですか。
櫻井さん:
まず、事業計画書の内容や提示するべき情報が、銀行やベンチャーキャピタルなど、いわゆる一般的な資金繰りを行う機関から資金を調達する際と比較して異なる部分が多かった点です。なおかつ、申請において提出する資料も多く、大変な労力を要するため、1人で進めるのは極めて困難だと感じました。
また、補助金申請において求められる事業計画書の見せ方・提示すべき情報についてガイダンスも少なく、ブラックボックス化されている点には頭を悩ませました。事業計画書のサンプルやフォーマットがない中で、自社の事業計画をどのレベルのアウトプットとすれば良いのか、作成する書類のボリューム感も分からない状態だったので、その段階から1人で進めるのは困難だと感じました。
さらに、補助金クラウドにご支援いただき、やっとの思いで作成した申請書類でしたが、採択後の手続きにおいても、事務局から修正や追記の依頼など、たくさんの質問や指摘事項が届きました。 改めて補助金申請の難しさを痛感しました。
コスパの良さと採択率の高さ 補助金クラウドの申請サポートに決めた理由
補助金クラウド編集部:
なぜ補助金の申請支援を補助金クラウドに決めていただいたのか、理由を教えてください。
櫻井さん:
補助金クラウドに決めた理由は大きく2つあります。
1つ目は、コストパフォーマンスが良い点です。他2社ほどと比較しましたが、補助金クラウドは着手金が良心的な価格でした。手元の資金繰りが安定していないことを鑑みると、初期費用はどうしても抑えたかったのです。また、成功報酬型なので、安心して依頼することができました。つまり万が一不採択だった場合は、着手金以外の費用はかからないといった点は大きなポイントでした。
2つ目は、採択率の高さです。補助金クラウドは、公認会計士メンバーで構成された経済産業省認定の「経営革新等支援機関」であり、信頼性が担保されている組織であると感じました。また、情報通信業や観光業、飲食・生活サービス業など幅広い業界での採択実績がある点も大きなポイントでした。
補助金申請業務のリソースを大幅削減 補助金クラウドの申請サポートを受けて
補助金クラウド編集部:
実際に補助金クラウドの申請サポートを受けてみて、よかった点を教えてください。
櫻井さん:
補助金申請業務のリソースを大幅に削減できたことです 。サポートを受ける前は、自分1人でまっさらな状態から計画書を作成しなければなりませんでしたが、補助金クラウドの担当者が「ここに該当する数値を提出してください」「こういうことを記載したいので教えてください」など、インタビューしていただきながら進めることができました。1から考えなければならないはずだった大きな労力と時間を限りなく減らすことができました。
そもそも、弊社の事業計画はすでに存在しており、大体は私の頭の中にインプットされているので、一問一答形式であればスムーズに書類に落とし込むことができると思います。しかし、記述ベースで1から考えて回答しなくてはならない場合、多くの工数を取られてしまいます。そのため、私たちが提出すべき情報を明確に指定していただけたのは非常に助かりました。
また、事業計画書の見せ方について迷ったときには、一般論ではなく経験や採択事例に基づいた意見をいただけたため、説得力と信頼性がありました。自分1人で事業計画書を作成していれば、おそらく20倍以上の時間を費やしていたのではないかと思います。
補助金採択後は業務が好転 経営指針にも変化が
補助金クラウド編集部:
補助金採択後の業務や社内の反応はどのように変わりましたか?
櫻井さん:
補助金に採択されたことが一助となり、日本政策金融公庫からの融資が下りました。会社として使えるお金が増えたことは、業務変化として大きかったと思います。
また、今回の申請で事前着手承認制度を活用できた点は大きなメリットだと感じます。通常であれば、補助対象となるのは補助金の交付が決定した後の経費のみですが、事前着手承認制度は、補助金の交付が決定される前に必要となった経費も補助対象として承認されます。
会社のお金に余裕ができたことで、営業やマーケティングの体制強化にリソースを使えるようになり、リード及び顧客数は拡大しています。
また、自社の経営指針の観点でも、今まで見えていなかった重要なところを再確認するきっかけとなりました。弊社は、「顧客へどのように価値提供していくか」という点にこだわり、事業展開をしてきました。事業計画や今回の申請を経て、短期、特に1〜2年のスパンにおける資金繰りの重要性を再確認することで、安定的にお客様に価値提供するためにどのような経営をすべきかという意識の調整をするきっかけとなりました。
つまり、”顧客への価値提供”という抽象度の高いところから、資金繰りという具体的なところに目を向けることで、短期での経営の安定性も重要視するようになりました。
補助金の採択は資金調達の大きな武器 補助金申請を検討している方へのメッセージ
補助金クラウド編集部:
補助金申請にハードルを抱えている中小企業者は未だ数多く存在していると思います。そのような方々の背中を押すような、アドバイスやメッセージがあればお願いします。
櫻井さん:
私が、これから補助金申請を検討している方に伝えたいメッセージは、主に2つあります。
1つ目は、補助金申請は、外部の専門家を頼った方が良いということです。先述したように、事業計画書の内容や作成方法について、公式な情報としては細かく開示されていないため、自社の事業計画書をどのようなアウトプットとすれば良いのか、また、採択基準を満たすためにはどのような見せ方が適切なのかといった点で課題が発生し、自分が想定しているよりもリスク・工数が膨大になると思います。
2つ目は、経営の安定化という観点で、資金調達手段はたくさんあった方が良いということです。私が今回の申請で経験したように、補助金に採択されたという証跡は、融資を通すときの大きな武器になります。私は採択された補助金額の1.5倍の融資額が下り、合計すると短期間で経営を大きく好転させることが可能となるほどの額を得ることができました。このように資金調達の手段を複数持っておき、補助金の採択という証跡をつくっておくことで、経営の安定化という観点で大きなメリットが生まれるのではないかと思います。